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2022-01-04

AI チャットボットとは? 特徴と選び方、活用事例を紹介

コンタクトセンターなどで顧客からのチャットに自動回答してくれるチャットボットですが、最近はこれに人工知能(AI)を搭載した製品が増えています。しかし AI を搭載することで、従来のチャットボットから何が変わるのでしょうか。本記事では、 AI チャットボットの特徴や製品の選び方、具体的な活用事例などについてご紹介します。

チャットボットとは

チャットボットとは、「チャット」と「ロボット」を合わせた造語で、チャット上での人の問いかけに自動応答するプログラムのことです。企業においては、自社サイトでの FAQ 対応や Web 接客といった分野で活用されています。

チャットボットの種類と仕組み

現在のチャットボットは「人工知能型」と「人工無能型」の二種類に大別できます。要するに、人工知能(AI)が搭載されているかいないかの違いです。以下では、それぞれの特徴や仕組みについて解説していきます。

人工知能型

人工知能型のチャットボットは、 AI の自然言語処理機能によってユーザーからの問いかけを柔軟に理解できるように設計されています。顧客との過去のやり取りなどを参考にして機械学習し、そこから最適な応答の仕方を発見して、人間のサポートを必要とせずとも類似した事例に対応できるように機能を向上させていきます。こうした機能によって人工知能型チャットボットは、ユーザーの質問の意図を的確に見極め、より適切かつ自然な顧客対応を可能にします。なお、機械学習など AI の基本的な機能については関連の記事の「AI と機械学習、ディープラーニング(深層学習)の違いとは?」をご参照ください。

人工無能型

人工無能型とは、 AI 非搭載のチャットボットです。この種類のチャットボットは、あらかじめ設定されたルールやシナリオ通りに文言を返すため、「ルールベース(シナリオ)型」と言われる場合もあります。人工無能型のチャットボットは、最初に登録されたプログラム通りにしか質問を受け付けられず、回答もできないため、それ以外の複雑なタスクを実行したり、個別的な問題に対応したりすることができません。その反面、チャットボットが想定外の答えを返すような不具合が起きにくいという利点もあります。

チャットボット導入のメリット

チャットボットを導入することにより企業はどのような恩恵を得られるのでしょうか。以下では、チャットボットの主なメリットについてご紹介します。

業務を効率化できる

まずチャットボットを導入することで、コンタクトセンターやヘルプデスクなどの問い合わせ業務を効率化できます。企業のこうした部門には、難解な質問以外に、単純で似たり寄ったりな質問も大量に届きます。チャットボットの導入により、後者のよくある質問への対応を自動化できれば、人間のスタッフが担当しなければならない作業コストは軽減され、業務効率化を促進できます。

顧客の問い合わせの負担が軽減される

チャットボットは企業側だけでなく、問い合わせする顧客側の負担も軽減できます。チャットボットなら、 365 日 24 時間体制で対応可能です。そのため、顧客は企業の窓口時間を気にすることなく、いつでも問い合わせができます。また、人間のスタッフに尋ねるには躊躇するデリケートな質問でも、チャットボットなら気軽に問い合わせできるのも大きなポイントです。このように顧客接点を増やすことで、顧客体験が向上し、ビジネスチャンスを増やしていけます。

素早く偏りのないレスポンスができる

チャットボットの特徴として、素早く偏りのない応答ができることも挙げられます。人間のスタッフの場合、問い合わせ対応の質は、各スタッフの資質や経験、知識、あるいはその日のコンディションなどによって左右され、どうしてもバラつきが出てしまいます。チャットボットを導入することで、回答品質の標準化が実現するため属人化が回避でき、ノータイムのレスポンスによる顧客満足度の向上も期待できます。

チャットボット導入のデメリット

チャットボットには上記のようなメリットがある一方で、その導入に際しては以下のような注意点もあります。

導入に手間と時間がかかる

AI チャットボットには、適切な応答が可能になるよう機械学習が必要なので、学習用のデータを整備するための手間や、それを AI が学習するための時間が必要です。手間と時間、そして費用の面から言えば、人工無能型のチャットボットの方がコストはかかりません。

細かく複雑な対応ができない

今のチャットボットは、たとえ人工知能型であっても、人間ほど細かく複雑な対応ができません。また、感情が読み取れないため、顧客とのコミュニケーションにおいて細かなニュアンスが伝わりづらい部分もあります。そのため、問い合わせ業務から完全に人間のスタッフを外すのは難しいでしょう。

費用対効果が得られない場合がある

チャットボットの導入にはお金や時間、労力などのコストがかかるため、そもそも問い合わせするユーザーが少ないと運用負担のみかかってしまい、採算が取れない場合もあります。そのため、どれくらいの機能や費用の製品が相応しいかはもちろん、導入すべきかどうかも自社に合わせて検討する必要があります。

チャットボットの選び方

上記のメリット・デメリットを踏まえた上で、自社に適したチャットボットはどのように選べばいいのでしょうか。その主なポイントとしては、下記のようなものが挙げられます。

  • 人工知能型か人工無能型か
  • 希望の外部ツールと連携できるか
  • サポート体制は充実しているか

人工知能型か人工無能型か

すでにご紹介したように、チャットボットはAIを搭載しているか否かによって大別できます。人工知能型は、顧客からの問い合わせに比較的柔軟かつ自然に答えられる一方で、お金や時間、手間などのコストがある程度必要です。一方、人工無能型はあらかじめ決められたルール通りにしか答えられないものの、コストは少なく済みます。チャットボットにどこまでの機能を期待するかに合わせて、まずはこの基本路線を決めましょう。

希望の外部ツールと連携できるか

チャットボットが自社の希望する外部ツールと連携できるかも重要なポイントです。たとえば、LINE対応しているチャットボットであれば、顧客との有力な接点をさらに増やせます。また、自社の CRM(顧客管理システム)と連携できれば、自社の持つ詳細な顧客情報を組み合わせて対応にあたることも可能です。

サポート体制は充実しているか

新しいツールの導入にあたってトラブルはつきものです。そうしたときに、ベンダー企業のサポートが充実していれば心強いでしょう。とりわけ AI チャットボットの場合は、 AI に機械学習させる必要があるため、自社に IT 人材が不足している場合はサポート体制の有無は非常に重要です。

チャットボット活用事例

チャットボットは、すでに多くの企業が活用しています。ここからは、そうした活用事例の中から「スターバックス」と「ライフネット生命」を取り上げます。ぜひ、導入の際の参考にしてください。

スターバックス

スターバックスは、「マイ・スターバックス・バリスタ」というスマホアプリ内にチャットボットを導入しています。このアプリでは、スマホを介して商品の予約注文が可能で、その際チャットボットが店員の代わりに注文の受付や代金の支払処理などの「接客」をしてくれます。

スターバックスでは複雑なカスタマイズオーダーができますが、アプリ上でこれを行うことでオーダーミスを予防し、顧客を待たせることなくすぐに商品を提供できます。近年では、このようにオンラインとオフラインをシームレスに繋げるオムニチャネル化が注目を集めています。

ライフネット生命

ライフネット生命保険は、 LINE や Facebook Messenger にチャットボットを導入し、保険診断や見積りを自動回答するサービスを提供しています。この保険診断はたった1分程度で終わるので、顧客は営業時間などを気にすることなく、すきま時間で保険の計画を立てられます。 また、もしその結果を受けてより詳細に保険計画を立てたくなったら、シームレスにオペレーターと対応を切り替えることも可能です。保険契約というと身構えてしまう人も多いでしょう。しかし、このように多くの人が親しんでいる SNS を活用し、チャットボットによる自動診断を導入することで接点を広げていくことができます。

まとめ

チャットボットは、人工知能を搭載している種類と非搭載の種類に分けられます。人工知能型のチャットボットは非搭載の製品と比べて、手間や時間などのコストが必要な一方、業務の効率化やアプリとの連携かできるなどのメリットがあります。 本記事で紹介したように、 AI チャットボットを活用する企業は増えつつあります。チャットボットの導入を検討している方は、そうした他社の活用例も参考にしつつ、自社に合った製品の導入準備を進めましょう。

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