データ活用

2021-12-13

テキストマイニングとは? 活用事例や効果、注意点を紹介

情報通信技術の進歩に伴って、人類が生み出すデータ量は指数関数的に増大しており、企業では膨大な経営データの効率的分析が重要課題となっています。そこで重要となるのが「テキストマイニング」です。本記事では、テキストマイニングの概要や手法、具体的な活用事例やおすすめのソリューションなどについて解説します。

テキストマイニングとは

情報爆発時代と呼ばれる現代市場において、企業が競走優位性を確立するためには、収集・蓄積された膨大なデータを効率的に運用する経営体制が求められます。そして、ビッグデータ分析の重要性が高まるとともに注目を集めているのが、データベースから情報を抽出して傾向やパターンを分析する「データマイニング」です。このうち、膨大なテキストデータの中から付加価値の高い情報を抽出する分析手法を「テキストマイニング」と呼びます。

そもそも「マイニング」とは

テキストマイニングについて詳しく解説する前に、まずは「マイニング」という概念について見ていきましょう。「mining」は、英語で地中の鉱物を掘り出す「採掘」や「採鉱」を意味する言葉であり、 IT 分野においては「データの抽出」といった意味合いで使用されます。ビットコインをはじめとする暗号通貨を解析して、新規コインを取得するプロセスを指す用語としても有名です。

テキストマイニングの意味

テキストマイニングは、構造化されていない膨大なテキストデータから、「自然言語処理(NLP)」を用いて有益な情報を抽出する分析手法です。 R 言語や Python のようなプログラミング言語を用いて、文章を名詞・動詞・形容詞などに分割し、それらの出現頻度や相関関係を分析します。膨大な「text(文章)」から付加価値の高い情報を「mining(採掘)」するという特性が、テキストマイニングと呼ばれる所以です。

テキストマイニングの目的

文章や言語という定性的かつ抽象的な情報を分析し、付加価値の高いデータを抽出することがテキストマイニングの目的です。 IT の進歩に伴って、企業が取り扱うデータ量はこれまでとは比べものにならない速度で増大しています。そのような中、企業が新たな市場価値を生み出すためには、定量的なデータ分析に基づく経営戦略が欠かせません。テキストマイニングを用いることで、顧客の声や SNS での口コミといったテキストデータを収集し、定量的なデータ分析に基づく需要予測や市場分析が可能になります。

テキストマイニングの事例

では、テキストマイニングはどういった経営課題の解決につながるのでしょうか。以下で具体的な事例について見ていきましょう。

アンケートの集計や分析

テキストマイニングを用いることで、アンケートの集計結果を分析・抽出し、顧客の潜在的な需要を捉えた製品やサービスの開発が可能になります。従来のアンケート調査は、アンケート結果を手作業で集計して Excel にデータを打ち込む、といった手法が主流でした。テキストマイニング技術を搭載した IT ツールを活用することで、アンケートの集計や分析が効率化・自動化し、顧客の需要や満足度を定量的に把握できます。

コールセンターにおける通話記録の分析

企業にとって最も重要な経営課題のひとつは、顧客が求める付加価値を提供することです。そのためのデータ収集にコールセンターが役立ちます。コールセンターは企業と顧客をつなぐ架け橋となる部門であり、膨大な量の顧客の声が日々寄せられる場所でもあります。テキストマイニングは、コールセンターに蓄積された通話記録をテキストデータに加工して可視化し、分析することで顧客ニーズの発掘や顧客満足度の向上に役立てられます。

SNS やブログなどの分析

近年、ソーシャルメディアやブログメディアが爆発的に普及し、市場に大きな影響を与えるプラットフォームとなりました。とくに Instagram や Twitter などの無料 SNS は非常にユーザーが多く、市場や顧客のリアルな声が集まっています。テキストマイニングは、 SNS やブログなどから市場の声を収集・分析し、需要予測や競合分析といったマーケティング戦略の立案に活用可能です。

テキストマイニングの手法

テキストマイニングを用いたデータ分析には、いくつかの手法があります。代表的な手法として挙げられるのは、「センチメント分析」「対応分析」「主成分分析」の3つです。それぞれ詳しく見ていきましょう。

センチメント分析

センチメント分析とは、人間の音声・文章・態度・表情といったデータから、対象の感情を分析する手法です。感情に由来する情報を読み取り分析するという特性から、「感情分析」とも呼ばれています。この手法では、顧客の感情を分析することで高精度な需要予測が可能になるほか、製品開発のヒントも得られます。

対応分析

対応分析とは、アンケート調査のようなクロス集計表や、構造化されていない生データを2次元マップで表現する分析手法です。統計学上のデータ解析手法のひとつで、「コレスポンデンス分析」とも呼ばれています。この手法では、テキストデータを散布図のような2次元マップにビジュアル化することで、集計項目の関係性を視覚的かつ直感的に理解できます。

主成分分析

主成分分析とは、データの変数を最小限に抑え、要約して提示する分析手法です。多変量な性質をもつビッグデータを分析するためには、多数のデータ項目を横断的に解釈する必要があります。この手法では、多次元データの情報を可能な限り損なわずに低次元空間に縮約し、大量のテキストデータの主成分のみを抽出して分析します。膨大な情報を処理できるため、ビッグデータ分析に活用される手法のひとつです。

テキストマイニングとデータマイニングの違い

そもそも「データマイニング」とは、膨大なデータを人工知能や統計学などの技術を用いて解析し、パターンやルールなどを抽出する技術を指します。集団から類似するものをグループ化する「クラスター分析」や、質的確率を予測する「ロジスティック回帰分析」など、さまざまな手法があります。

そして冒頭でも述べたように、膨大な経営データから情報を抽出・分析するデータマイニングにおいて、テキストデータの分析に特化しているのがテキストマイニングです。つまり、テキストマイニングはデータマイニングの一種といえます。

まとめ

20 世紀後半から 21 世紀初頭にかけて起こった IT 革命によって、さまざまな市場が飛躍的な発展を遂げました。しかし、その発展の裏で、市場の競争性は激化の一途を辿っています。そのような中、企業が新たな市場価値を創出するためには、膨大な経営データの効率的運用が不可欠です。

テキストマイニングは、自然言語解析によって膨大なテキストデータから有益な情報を抽出し、定量的なデータ分析に基づく経営戦略の立案に貢献します。企業にとって重要な経営資源である情報を有効的かつ戦略的に活用するためにも、テキストマイニングを経営体制に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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