データ活用

2021-09-27

データサイエンティストとは? 仕事内容や必要なスキルをわかりやすく解説

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情報爆発時代と呼ばれる現代では、指数関数的に増大しつつある経営データをいかに活用するかが重要な経営課題となっています。そんななか、大きな注目を集めているのが「データサイエンティスト」です。本記事はデータサイエンティストの概要について解説するとともに、具体的な業務内容や求められるスキルなどを紹介します。

データサイエンティストとは

20 世紀後半から 21 世紀初頭にかけてコンピュータによる技術革新が起こり、市場構造やビジネスの在り方そのものが大きな変革を遂げました。そして、急速な技術の進歩によって失われる職業がある一方で、変革によって新しい仕事や雇用が創出されています。そのひとつが「データサイエンティスト」です。ここからは、データサイエンティストとはどのような職業なのか、そしてどんな背景から誕生し、なぜ注目を集めているのかを解説していきます。

データサイエンティストとは

データサイエンティストとは、統計解析やコンピュータサイエンスなどを用いて収集・蓄積された膨大な経営データを分析し、それを経営戦略に活用する知見を引き出す職業を指します。もう少しわかりやすく言えば、膨大な情報を収集・分析し、データに基づく論理的かつ合理的な経営判断を下すプロフェッショナルといえるでしょう。データサイエンティストの業務領域は「データ分析」だけではありません。データ分析を専門とするのはデータアナリストであり、データサイエンティストはあらゆる解析手法を駆使し、事業活動におけるさまざまな課題を解決へと導く知見が求められる職業です。

データサイエンティスト誕生の背景

近年の情報機器や通信インフラの驚異的な進歩によって、企業が取り扱うデータ量は指数関数的に増大しています。この膨大な情報を活用するためには、不規則かつ乱雑なビッグデータの解析技術に長けた人材が不可欠です。データ分析の重要性にいち早く気付いた企業は、情報の統計担当者や収集担当者、あるいは分析担当者などを雇用し、データ分析を経営体制に取り入れていました。

しかし、データは収集・分析するだけでは意味を成さず、活用してこそ真価を発揮します。収集・分析されたデータを事業活動に活用するためには、具体的なマーケティング戦略や経営戦略にまで落とし込まなくてはなりません。そのため、統計解析やコンピュータサイエンスの分野だけでなく、マーケティングやマネジメントといった経営分野に知見の深い人材が求められるようになり、データサイエンティストという職種が確立されたのです。

データサイエンティストが注目される理由

現代は AI や IoT といった技術革新による第4次産業革命の黎明期にあたり、これまで以上にビッグデータ分析の重要性が高まっています。驚異的なテクノロジーの進歩・発展によって社会構造そのものが大きく変わろうとしているなか、企業が競争優位性を確立するためには、定量的なデータ分析による経営戦略の立案が欠かせません。 AI や IoT による技術革新やビックデータ時代の到来によってデータ活用が重視されるようになり、データサイエンスに長けた人材の需要が高まっているのです。

数学や統計学、あるいは情報科学などのデータサイエンスを経営に取り入れることで、顧客や市場の需要という抽象的かつ定性的なデータを、具体的かつ定量的に把握することができます。それにより、高精度な需要予測や定量的な市場動向の把握と分析、それらに基づく製品開発や迅速な意思決定などが実現します。また、経営データをあらゆる角度から分析することで、企業が抱えている課題や問題を定量的に把握できる点も大きなメリットです。このような背景から、データ分析と戦略立案に長けたデータサイエンティストが注目されているのです。

データサイエンティストの業務内容とは

ここからは、データサイエンティストの業務内容について見ていきましょう。具体的には「問題定義」「データ収集」「データ分析」「データ加工」「課題解決」の5つがデータサイエンティストの主な業務領域です。

問題定義

企業が発展していくためには、企業理念や経営ビジョンに基づくゴールを明確化しなくてはなりません。そして、ゴールへと辿り着くためには現状を正確に把握し、乗り越えるべき課題や解決すべき問題を可視化する必要があります。それが、企業の現状をあらゆる角度から俯瞰的に分析する「問題定義」です。経営課題を抽出して優先順位を定め、ゴールへと至るための仮説立案やロードマップ作成などに取り組みます。

データ収集

情報はヒト・モノ・カネに次ぐ第4の経営資源であり、企業はいかにしてビッグデータを効率的かつ効果的に活用するかが重要課題となっています。そこで問題定義後に実施するのが「データ収集」です。すべての構造化データと非構造化データをデータレイクと呼ばれるリポジトリに集約し、分析基盤となる環境を構築して情報を管理します。

データ分析

収集された膨大な情報をマーケティングやマネジメントに活用するために実施するのが「データ分析」です。データウェアハウスのような分析基盤を用いて集約された生データを構造化し、統計解析やコンピュータサイエンスなどを用いてデータを分析します。そして、データ分析によって経営課題を解決するための知見を探ります。

データ加工

「データ加工」は収集・分析されたデータを可視化したり、 AI に取り込む形へ加工したりするフェーズです。データ加工は、非構造化データを構造化するために分析前に実施されるケースもあります。データ分析後における加工の目的は、分析領域をピンポイントに絞り込み情報を可視化することです。そして、経営課題の解決やビジョンの実現へ向けて必要なデータを整理します。

課題解決

「課題解決」のプロセスこそが、情報分析のみを業務領域とするデータアナリストとの大きな違いです。先述したように、データは収集・分析するだけでは意味を成さず、活用してこそ真価を発揮します。データサイエンティストは統計解析やコンピュータサイエンスによって得られた知見を活用し、経営課題の解決へと結びつける能力が求められます。解析結果をマーケティング戦略や事業戦略にまで昇華するのがデータサイエンティストの役割です。

データサイエンティストに求められるスキルとは

データサイエンティストに求められるのは、統計解析や情報科学などを用いて情報の正確性や網羅性を担保し、たしかなデータ分析に基づくマーケティング戦略の立案です。したがって、データサイエンティストには「IT スキル」「統計解析スキル」「ビジネススキル」という 3 つの領域における深い知識と高い技術が求められます。

IT スキル

ビッグデータ分析には膨大な情報を収集・処理するための分析基盤が必要です。データサイエンティストにはそんな情報分析基盤の構築や、運用における幅広い IT 知識が求められます。とくに統計解析や機械学習で用いられるプログラム言語の Python の習得は必須といえるでしょう。同じくスクリプト言語であるRubyやPHPに関する知見と、 SQL やデータベースに関する知識なども求められます。

統計解析スキル

データサイエンティストにとって、数学や統計学、あるいは情報科学などは必須のスキルです。基礎的な数学への感度や確率統計の基礎知識は必ず押さえておきましょう。また、機械学習の理論は線形代数と微分積分の上に成り立っているため、これらの知識も求められます。こうしたデータ分析手法への理解とともに、データ分析ソフトウェアを使いこなす知見も必須といえるでしょう。

ビジネススキル

データサイエンティストに求められるのは、定量的なデータ分析に基づくロジカルなマーケティング戦略の立案です。したがって、データサイエンスに関する知見はもとより、経営領域にまで踏み込んだマネジメントへの深い理解が求められます。そして、分析結果を簡潔に伝えるコミュニケーション能力や、企業をビジョンの実現へと導くコンサルティングスキルなども必要です。

まとめ

データサイエンティストは膨大なデータを収集し、分析した結果から経営戦略や課題解決のための結論を導き出す仕事です。そのためにはただデータを分析する能力だけでなく、企業の課題そのもの見極めていく力も必要になります。また、 IT スキルや統計解析スキルといった、データ分析に直接関わってくるスキルだけでなく、ビジネスパーソンとしてのコミュニケーション能力も大切になってくる仕事です。

テクノロジーの進歩・発展によって AI や IoT による技術革新が起こり、社会構造そのものが大きく変わろうとしています。このような時代のなかで、企業が競争優位性を確立するためにデータサイエンティストの存在は、これからますます重要視されていくでしょう。

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