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2021年8月16日

中小企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を成功させるために克服すべき課題とは

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「DX は規模の大きな企業で取り組むようなことだ」などと考えてはいないでしょうか。企業が活動を続けていくためには、中小企業であろうと DX 推進が重要であるのは間違いありません。本記事では、中小企業による DX に着目して解説しています。中小企業ならではの DX やその進め方に疑問を持っている方はぜひ参考にしてください。

DXとは何か?

デジタルトランスフォーメーション(DX)に関しては様々な表現のされ方がありますが、本来的には、2004年にウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した「IT 技術の浸透により全ての人々の暮らしが豊かになっていく」ことを意味すると言われています。

ただ、昨今はもう少し具体性を持って説明されることが多いです。例えば 2018 年に経済産業省は「デジタルおよびデータの技術を用いて激しい変化に対応し、ビジネスモデル、業務、組織等を変革し、競争で優位に立つこと」などと提唱しています。

ここでは特に企業が主体となった場合の DX が説明されており、今ではビジネス用語としても定着しています。単にデジタル化を意味するのではなく、デジタル化の応用およびデータ利活用によってビジネスに改革をもたらしたり、競争力を強化したりすることを意味するのです。

DX推進における市場背景

DX に関して日本はどのような現状にあるのか、他国とも比較した市場背景・市場規模、進み具合を見ていきましょう。

2025 年の崖とは

経済産業省が 2018 年に発表したレポートでは「2025 年の崖」という言葉が使われています。これは、国内の企業が 2025 年までに DX を十分に進められず、レガシーシステムが残存していると、大きな経済損失が生じるということを表現しています。

レガシーシステムとは老朽化していることに加え、ブラックボックス化、複雑さが増したシステムのことです。レガシーシステムに対しては企業自身も修正が難しく、十分なメンテナンスもできなくなってしまいます。本来、業務効率を改善するために導入されているのですが、当該システムが障壁となって機動的な企業活動ができなくなってしまうのです。

レガシーシステムを放置してしまっている国内企業は多く、そのままだと DX を積極的に進める海外企業との競争に負けてしまいます。その結果、 2025 年以降一年間当たり最大 12 兆円もの経済損失が生じるとされているのです。

この損失の結果は大企業のみならず、中小企業にも影響が及びます。

企業規模によって異なるDXの推進状況

スイスのビジネススクールIMDが公表した調査結果(2019)によると、デジタル競争力の 1 位はアメリカ、 2 位がシンガポール、 3 位がスウェーデンでした。同じアジア勢である韓国は 10 位、台湾は 13 位であるのに対し日本は 23 位と、優位な位置にあるとは言えません(参照元:https://www.imd.org/news/updates/imd-world-digital-competitiveness-ranking-2019/)。

実際、国内企業を対象としたアンケートでも、特に小さな規模の企業ほど DX を推進している割合が少ないことが分かっています。

企業規模で分けた DX の推進状況、「推進している割合」を簡単にまとめた以下を見てみましょう(参照元:https://jma-news.com/wp-content/uploads/2020/09/b71d22671beb221ffeb071c4c8c163da-1.pdf)。

  • 従業員が 3,000 人以上いる大きな企業:推進・検討に着手済み 83.2%
  • 従業員数 300 人以上 3,000 人未満の中堅企業:推進・検討に着手済み 56%
  • 上位以外の中小企業:推進・検討に着手済み 34.9%

規模の大きな企業では DX 化が進みつつありますが、中堅企業では半数ほど、日本の企業の多くを占める中小企業では 3 割ほどしか進められていないことは問題と考えるべきことかもしれません。

規模が小さな企業でも DX を進めることには意義があり、重要です。

中小企業がDX推進に取り組むメリット

多くの中小企業が未だ失敗する以前の、未着手の状態にあります。その理由としては様々なことが考えられますが、一つに「DX 推進のメリットを理解できていない」ということが挙げられるでしょう。

そこで以下では、 DX に取り組むことでどのようなメリットが得られるのか、説明します。

業務の効率化

よく言われているのは「業務効率の向上」です。

DX に取り組むことで、その実現の前提にある業務のデジタル化が進みます。そうすると、大きな改革にまで至らなくても、属人化した業務の自動化・標準化ができたり、無駄な作業の削減ができたりもします。

業務を見直すきっかけとなり、結果として効率の向上が見込めるのです。無駄を省き、注力すべき業務に専念できることで新たなアイデアの創出に寄与しますし、付加価値の高い仕事もできるようになるでしょう。

BCP の拡充

日本は地震大国と言われる通り、津波や台風など、自然災害の影響を比較的受けやすい国です。そのため、こういった非常事態にも備えて、活動が停止しないように整備しておく重要度が高いです。

こうした体制の整備や計画策定を「BCP」と呼んだりもします。 BCP に関して直接的な取り組みをしなくても、 DX を進めるということは BCP を拡充することにも繋がります。

例えば、紙の書類、または社内のサーバーで重要な情報を保管している場面を考えてみましょう。このとき、地震や火災などによりオフィスが物理的なダメージを負うと、事業がストップするおそれがあります。しかしクラウドサービスを活用し、どこからでもデータやシステムにアクセスできる状態にしておけば、大きな損害は避けられるでしょう。

働き方の多様化

DX の問題とは別に、「多様な働き方」が重視されるようになっています。オフィスに全員が出勤し、画一的な働き方しかできないのではなく、自宅や外出先での業務遂行、場所や時間にとらわれない働き方、より自由度の高い働き方に注目が集まっています。

DX を進めることで働き方に多様性を持たせることが容易になるでしょう。より良い職場環境を提供することで、優秀な人材の確保にも繋がります。

DX 推進において中小企業が持つ課題

DX 推進には様々なメリットがありますが、その実現は簡単とは言えません。特に中小企業においては以下で挙げるような課題があります。まずはよくある課題を意識し、これらを解決するようにして進めるようにしましょう。

システム老朽化

上述した通り、システムの老朽化は大きな問題です。そしてこのことは DX 推進を阻害する要因の一つにもなります。

例えば、システム構築の複雑化が進み、ブラックボックス化していると、新たな取り組みや改革を起こしにくいです。最新のセキュリティにも対応できませんし、システムのメンテナンス・維持も困難になります。

経済産業省によるレポートでも国内企業の 8 割が老朽化システムを抱えているとされています。

人材不足

DX 推進に向けて意欲があったとしても、知識やスキルがなければ効果的に進めようがありません。そのため DX に向けた人材の登用や育成を進める必要があります。

しかし、日本では働き手全体が減少しつつありますし、 IT 人材においてはより深刻な人材不足が進んでいるのが現状です。そのため、中小企業が DX 人材を確保するのは簡単ではないでしょう。

そうすると、内部にノウハウを蓄積できない企業は IT ベンダー等の協力を求めることになります。ただし、多くのコストが発生することになりますので、潤沢な資金を持たない小規模事業者には着手のハードルが上がってしまいます。

経営層の意識

経営層がまず積極的に取り組みを始め、そのことを従業員に周知させることが大事です。しかしこれができていない企業は多いといえるでしょう。特定の部署だけで積極的に取り組むのではDX の実現は難しいため、経営層の意識を変えることから始めなくてはなりません。

予算確保

人材確保の話でも触れましたが、中小企業にとってはコストの問題が大きいです。

ツールの新規導入には費用が発生し、導入時のみならずランニングコストもかかるため、予算の確保ができずに苦労するケースも多いです。 DX が成功すれば大きな費用対効果は見込めますが、なかなか踏み切れない企業が多いのは否めません。

DX推進のための補助金制度紹介

コスト面で困っている企業にぜひ知っていただきたい情報があります。それはDX推進をフォローする形で機能する、補助金制度があるということです。

中小企業庁が関連する代表的なもので言うと「IT 導入補助金」と「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」が挙げられます。

「IT 導入補助金」は、小規模事業者および中小企業が IT ツールを導入の際にかかる経費を一部補助するというものです。補助額と補助率、対象となる取り組みから 4 つの分類がなされています。補助額は 30–450万円、補助率は 1/2–2/3 までの幅があり、特に非対面やテレワークを実現するような取り組みは優遇されています(参照元:https://www.it-hojo.jp/)。 「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」は、生産性向上に向けた革新的な開発・生産プロセスの改善を目的とした設備投資を支援するものです。設備投資への支援であるため補助額も大きく、補助率は経費の 1/2–3/4 で、最大 1,000 万円までが補助されます。グローバル展開を目指す企業への支援では、 3,000 万円まで補助を受けられるケースもありますので、製造業者など気になる方はチェックしてみましょう(参照元:https://portal.monodukuri-hojo.jp/common/bunsho/ippan/5th/hojo/hojo_kofukitei_5ji_20210518.pdf。)。

まとめ

多くの中小企業で DX が進められていないという現状があります。だからこそ、早期に着手することで競争の優位に立つことができます。補助金など、 DX をサポートする制度もいくつかありますので、これらを活用しつつ進めていくと良いでしょう。 DX が実現されることで生産性や対外的な評価も高められ、取引先からの信頼獲得や将来の人材確保にも良い影響を及ぼすでしょう。

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